第5回:やってはいけない危険な投資1「住宅ローン」
世の中って分からないものですね。
先程のエリートサラリーマンにように、借金から逃げ回っているのと同じ方が、危険な不動産購入をしていたりします。
それは、マイホームの購入です。
僕は、別事業として特定調停や債務整理の事務所をもっていますが、多重債務に陥る方の中には、ギャンブルやブランド品の購入などの浪費型ではなく、住宅ローンの支払いができなくなって多重債務に陥る方が少なからずいます。
この住宅ローン破産の多くは、平成12年3月末で廃止された住宅金融公庫の「ゆとり返済」を利用したものです。
概略のみにとどめますが「ゆとり返済」は借入後5年間の返済額を押さえ、6年目から返済額が増加するものでした。
これは、消費者の視点からみれば、本来住宅の購入能力がなかった層に、住宅取得の道を開くものでしたが、国の目的はそんなところにはなかったのです。
バブル経済の崩壊後の不況の中で、国は公庫融資を拡大し、住宅購入者の掘り起こしをすることで、住宅関連産業による内需拡大と景気の下支え、地価下落の下支えを図ったわけです。
ところが実際には、住宅購入者は物件価格の100%まで目一杯の融資を受けており、予定どおりの昇給はなく、ボーナスも減額され、地価の下落によって担保割れで物件を売ることも、買い替えることもままならない状況に陥ったのです。
それで、最終的にはボーナス返済分が払えなくなって、消費者金融に手を出して多重債務に陥るというケースが非常に多いです。
簡単に言えば、国家ぐるみで景気浮揚策のために低所得者層をカモッた訳ですね。
カモられた当の本人はというと「住宅金融公庫という公的機関がやることだから間違いない」と思っていたところが、大変な状況に陥ってしまう。
しかも、それが国家ぐるみで仕組まれたことすら気付かず「景気が悪いのだから仕方が無い」と納得してしまうわけです。